通勤費の計算における課題と解決のポイント
従業員から申請される通勤費の計算は、毎月発生する欠かせない業務です。その複雑な処理と煩雑な工程に、担当者は日々悩まれているのではないでしょうか。
そこで本記事では、通勤費の計算過程で生じる課題をおさらいしたうえで、それを解決するためのポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.通勤費の計算における課題
- 1.1.①通勤経路を判断しにくい
- 1.2.②毎月の精算処理の工数が多い
- 1.3.③定期券を払い戻す際にミスが起こる
- 1.4.④支給履歴をすぐに確認できない
- 1.5.⑤運賃改定や駅名変更の際に手間がかかる
- 2.通勤費の計算における課題を解決するポイント
- 3.通勤費の計算方法
- 3.1.①公共交通機関(電車・バス)の場合
- 3.2.②マイカーの場合
- 3.3.③自転車や徒歩の場合
- 4.まとめ
通勤費の計算における課題
まずは通勤費の計算業務において発生する、主な課題を確認します。
①通勤経路を判断しにくい
通勤費の支給にあたって、人事・総務担当者が従業員の利用する交通手段や経路を正しく判断することは容易ではありません。鉄道・バス・マイカーなど、複数の交通手段が混在するため、最適な経路であることを確認するのが難しくなるのです。特にバスを利用する従業員の場合、自宅から駅までの距離が規定の要件(例:自宅から駅まで2Km以上の場合に限り、駅までのバスの利用を認める等)を満たしているか 、余計な迂回をする経路になっていないかなど、通勤経路として認めてよいかどうかの判断が複雑になります。
さらに、地方拠点の場合、本社の担当者が土地勘をもたないため、適切な経路かどうかを確認することが困難です。従業員が提出した経路をそのまま採用すると、最短・最安経路が見逃される可能性があります。
②毎月の精算処理の工数が多い
通勤費の精算業務は毎月発生しており、申請数が増えるほど担当者の負担が大きくなります。特に紙での申請を行っている場合、記入や転記のミスが発生しやすく、確認作業の手間が増加します。
表計算ソフトで管理している場合も、ヒューマンエラーがゼロになるわけではありません。手入力によるミスが発生するおそれがありますし、計算式をうっかり書き換えてしまい支給額の間違いにつながるリスクも考えられます。
また、通勤費の実費精算を行っている企業では、勤怠記録との照合が必要になり、出社回数に応じた支給額の計算が煩雑になります。
③定期券を払い戻す際にミスが起こる
従業員の転居、異動、退職に伴う定期券の払い戻し計算は、鉄道会社やバス会社ごとに異なるルールがあり、計算ミスが発生しやすい業務です。月割・旬割・日割といった異なる計算方式が存在するため、適用するルールを間違えると支給額に過不足が生じます。
また、払戻手数料の金額も交通事業者によってまちまちです。異動が集中する時期には処理件数が増えるため、注意が必要です。
④支給履歴をすぐに確認できない
過去の支給履歴が紙で管理されている場合、必要な情報を素早く検索することが困難です。監査対応時や給与計算時に支給履歴を確認する必要があれば、手作業で探さなければならず、業務の遅延につながります。
また、のちに申請ミスや計算ミスが発覚すると、遡って精算処理をやり直す作業が発生します。このときに支給履歴をすぐに確認できなければ、修正に時間を要し、ほかの業務が遅れてしまいかねません。
⑤運賃改定や駅名変更の際に手間がかかる
鉄道やバスの運賃改定、また駅名の変更は、多くの従業員の通勤費計算に影響を与えます。運賃が改定された際には、全従業員の経路を洗い出して新しい運賃を適用する必要があり、確認作業に時間がかかります。
また、マイカー通勤に対しても、ガソリン価格の変動によって支給額を調整している企業は、その計算が手間となるはずです。都道府県別の平均単価を適用するケースもありますが、その際は不公平感を抑えるための対応が求められます。
通勤費の計算における課題を解決するポイント
通勤費の計算において発生する多くの課題を解決するには、どのようにすればよいのでしょうか。まずは改善すべき点を整理したうえで、以下のポイントを意識してください。
▼通勤費の計算における課題を解決するポイント
- 申請の方法やルールを統一する
- 通勤ルートや距離の割り出し方法を見直す
- 公共交通機関の運賃改定に伴う更新作業を効率化する
- 手入力で行う作業を削減する
- 部署間でデータを共有できる環境を整える
課題を解決するには、ルールや作業方法を見直し、無駄な工程を減らすことが重要です。
通勤費の計算方法
最後に、通勤手段ごとの通勤費の計算方法をおさらいします。
なお、通勤費の支給は義務ではなく、各企業で自由にルールを決められます。ここで紹介する方法は一例なので、実際にどのように通勤費を支給すればよいのかについては、自社の就業規則を確認してください。
①公共交通機関(電車・バス)の場合
公共交通機関を利用するケースでは、通勤費は通常、定期券の代金に基づいて支給されます。定期券の種類には1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月があるため、企業ごとにどの期間の定期代を支給するか定めなくてはなりません。
また、定期券を利用しない場合は、往復の運賃に出勤日数を乗じて計算することもあります。
②マイカーの場合
マイカー通勤の場合、通勤費の計算方法は企業ごとに異なりますが、一般的なのは“ガソリン単価と燃費を使う方法”と“距離単価による方法”です。それぞれの計算には以下の式を用います。
▼マイカーで通勤した場合の計算方法
方法 |
計算式 |
ガソリン単価を用いる方法 |
往復の通勤距離×勤務日数×ガソリン単価÷燃費 |
距離単価を用いる方法 |
往復の通勤距離×距離単価×勤務日数 |
なお、肝心の距離単価は、事前に会社規定に記しておくことが大切です。
③自転車や徒歩の場合
自転車や徒歩での通勤費の支給も、企業の裁量によります。一般的に、徒歩で通勤している従業員には支給されないことがほとんどです。
ただし自転車通勤には、一定の基準に基づいて支給されるケースがあります。例えば、“片道2km以上”という条件を設けたうえで、マイカー通勤の場合と同様に距離に応じた金額を支給している企業も珍しくありません。
まとめ
この記事では、通勤費の計算における課題について以下の内容を解説しました。
- 通勤費の計算における課題
- 通勤費の計算における課題を解決するポイント
- 通勤費の計算方法
通勤費の計算は毎月発生する重要な業務ですが、その過程でさまざまな課題が発生します。できる限り円滑に業務を進めるため、改善点を挙げたうえで効率化を図る必要があります。
通勤費の計算・支給に関する業務を効率化するには、通勤費管理システムを導入するのも一案です。
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