通勤手当の計算方法とは? 自動計算におすすめの方法も紹介

通勤手当の計算は、給与に関する主要な業務の一つです。一見、単純なように見えて、実際には複雑な作業ばかりです。例えば、引っ越しに伴う経路変更や運賃改定による計算のやり直し、課税・非課税の判断などがあります。


こうした通勤手当の計算業務を、自動化できたら便利ですよね。


そこで本記事では、通勤手当の基本的な知識を、計算方法や自動計算におすすめの方法とともに紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.1.通勤手当とは
    1. 1.1.通勤手当が導入された背景
  2. 2.2.通勤手当と交通費の違い
  3. 3.3.通勤手当の対象範囲となる通勤手段
  4. 4.4.通勤手当の計算方法
    1. 4.1.電車・バスの場合
    2. 4.2.自家用車の場合
    3. 4.3.自転車・徒歩の場合
  5. 5.5.複雑な通勤手当の自動計算には通勤費管理システムがおすすめ
  6. 6.まとめ

1.通勤手当とは

従業員が通勤する際にかかる費用を、事業主が手当として支給するものを“通勤手当”といいます。支給額の上限や算出方法、対象となる通勤手段は、事業主が自由に決められます。
通勤手当は、“正社員の手当”という印象をお持ちの方も多いかもしれません。しかし、企業によっては正社員のみならず、アルバイトやパートなどの非正規社員にも通勤手当を支給している場合があります。


なお、通勤手当の支給は、労働基準法や会社法で定められているわけではないため、支給しなかったとしても法律違反には該当しません。とはいえ、従業員の満足度向上のために支給する場合がほとんどです。


通勤手当が導入された背景

通勤手当は、従業員の経済的な負担を軽減させる目的で、戦後に導入され始めたといわれています。


終戦当時、戦争による災害の影響で、日本国内は深刻な住宅不足に見舞われました。家がなければ、その土地では生活を送ることができません。ですから、大勢の方が、生活する場所を別の地域に移したとされています。生活圏が変わったことで、遠距離通勤を強いられる労働者も増加しました。


こうした状況下で、少しでも労働者の経済的な負担を減らすことを目的に、取り入れられたのが通勤手当です。次第に、働き手を確保するために通勤手当を導入する企業が増えていきました。



2.通勤手当と交通費の違い

通勤手当とよく似た言葉に“交通費”がありますが、両者は明確に定義が分かれています。


従業員が、自宅から会社まで通勤するのにかかる費用は“通勤手当”、取引先への訪問や出張などの、業務に関わる移動費は“交通費”です。なお、勘定科目では、通勤手当と交通費をまとめて“旅費交通費”と扱う場合もあれば、通勤手当は“通勤手当”、交通費のみを“旅費交通費”とする場合もあります。


また、通勤手当は課税・非課税が条件によって分かれるのに対して、交通費は業務に必要な経費として扱われるため、すべて非課税です。
通勤手当と交通費ともに支給方法は、現金精算のケースや、給与と一緒に支払うケースなど、企業によってさまざまです。



3.通勤手当の対象範囲となる通勤手段

通勤手当の対象となる通勤手段は、事業主側で決めることができます。


一般的には、通勤手段の選択肢として、電車やバスなどの公共交通機関や、自家用車、自転車、徒歩が挙げられます。事業主側で就業規則を作成するため、通勤手当の対象を公共交通機関に限定することも可能です。


いずれにせよ、支給対象者となる従業員には、通勤手段を明確に伝えてもらわなければなりません。なお、通勤手当が非課税となるのは“もっとも経済的かつ合理的な経路および方法”である場合に限られます。



4.通勤手当の計算方法

通勤手当の計算方法は、通勤手段によって異なります。ここでは、通勤手段ごとに、計算方法を解説します。


電車・バスの場合

電車やバスといった公共交通機関で通勤する場合は、一般的に通勤手当として定期券の購入費用を支給することがほとんどです。通勤定期券は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の3種類あり、同じ区間でも期間によって料金が異なります。そのため、通勤手当の対象とする定期券の期間は、あらかじめ決めておきたいところです。


また、公共交通機関の場合は、“もっとも経済的かつ合理的な経路および方法”であり、1ヶ月あたりの通勤費が15万円以内であれば、非課税となります。
近年は、新型コロナウイルスの影響で増えたテレワークにより、出社する社員の数が減ったことから、定期代の支給を廃止して、出社日数に応じた実費支給に切り替える企業も増えています。


自家用車の場合

自家用車で通勤する場合は、ガソリン単価と燃費、あるいは通勤距離で通勤手当を計算するのが一般的です。


ガソリン単価と燃費で計算する場合の計算式は、“自宅と勤務地の往復の通勤距離 × 勤務日数 × ガソリン単価 ÷ 燃費”です。勤務日数は、“(365日-所定休日の日数)÷ 12ヶ月”で求めます。


通勤距離で計算する場合は、“自宅と勤務地までの片道の通勤距離 × 距離単価 × 勤務日数 ×2”の計算式を用いれば、算出することが可能です。


自家用車の場合は、課税・非課税の基準が片道の通勤距離になっており、また距離ごとに非課税限度額が細かく分かれています。


▼自家用車で通勤する場合の1ヶ月あたりの非課税限度額

片道の通勤距離

非課税限度額

2㎞未満

(全額課税)

2㎞~10㎞未満

4,200円

10㎞~15㎞未満

7,100円

15㎞~25㎞未満

12,900円


25㎞~35㎞未満

18,700円

35㎞~45㎞未満

24,400円

45㎞~55㎞未満

28,000円

55㎞以上

31,600円


上記の非課税限度額を超えると、超過分が給与扱いとなり、所得税が課されます。


また、公共交通機関と自家用車を併用して通勤する場合は、1ヶ月あたりの通勤定期代と、自家用車の片道の移動距離を基準とした非課税限度額を合計して計算します。この合計が15万円未満であれば非課税対象です。


自転車・徒歩の場合

自転車や徒歩で通勤する従業員への通勤手当の有無は、事業主が定める就業規則によって異なります。徒歩であれば支給せず、自転車であれば支給するのが一般的です。


というのも、自転車は、所得税法上、自家用車やバイクと同様に“交通用具”に分類されています。そのため、企業によっては、通勤手当が支給されるというわけです。自転車の場合も、片道の通勤距離に応じて非課税限度額が定められています。その規定は、先述した通りです。


勤務先の近くに住んでいる従業員は「自転車で通勤しよう」と考えることもあるかもしれません。しかし、片道2km未満の場合は、通勤手当が全額課税となってしまいます。ですから、自転車での通勤許可を申請されたときには、従業員の住んでいる場所を考慮したうえで、認めることを推奨します。「片道2km未満でも自転車で通勤したい」という従業員に対しては、非課税限度額の内容を伝え、了承を得ることも大切です。



5.複雑な通勤手当の自動計算には通勤費管理システムがおすすめ

通勤手当の計算には、従業員ごとに異なる通勤ルートや定期代の確認が必要となり、多くの手間を要します。また、従業員の引っ越しや、公共交通機関の運賃改定のたびに、通勤手当を見直さなければならず、業務の負担が増えてしまいます。


そこでおすすめなのが、通勤手当を自動計算できる通勤費管理システムです。通勤費管理システムを活用すれば、経路変更や運賃改定に伴う自動計算はもちろん、従業員からの申請や承認も、一つのシステムで管理できます。煩雑な通勤手当の処理を自動化できるため、業務効率化にもつながります。



まとめ

この記事では、通勤手当について以下の内容を解説しました。

  • 通勤手当とは
  • 通勤手当と交通費の違い
  • 通勤手当の対象範囲となる通勤手段
  • 通勤手当の計算方法
  • 複雑な通勤手当の自動計算には通勤費管理システムがおすすめ

通勤手当の計算方法は、通勤手段によって異なります。経理担当者は、従業員一人ひとりの通勤手段と経路を把握したうえで、通勤手当を正確に算出する必要があります。


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