通勤手当の支給で間違いが起こる原因と少なくするための対策
通勤手当の支給ミスは、すべての企業に起こりえる身近な問題です。金額を誤って支給すると、修正対応のために時間が取られ、生産性が低下する要因になります。
本記事では、通勤手当の支給ミスが起こる原因を紹介したうえで、それが発生しないために企業がとるべき対策を解説します。
目次[非表示]
- 1.通勤手当の支給ミスが起こる原因
- 1.1.①申請内容の誤り
- 1.2.②申請の遅延
- 1.3.③運賃や定期券の値上げ
- 1.4.④繁忙期の作業増加
- 1.5.⑤出社回数の誤り
- 2.通勤手当の支給ミスの修正方法
- 2.1.①現金で処理する
- 2.2.②翌月以降に調整する
- 3.通勤手当の支給における間違いを少なくするための対策
- 3.1.①通勤マスターを修正する
- 3.2.②支給ルールを明確にする
- 4.まとめ
通勤手当の支給ミスが起こる原因
通勤手当の支給ミスにお悩みの人事・総務担当者の多くは「どのようなときにミスが発生するのか、きちんと把握しておきたい」とお考えではないでしょうか。
ここでは、支給ミスにつながる代表的な5つの原因を紹介します。自社のケースと照らし合わせ、対策を講じる際の参考にしてください。
①申請内容の誤り
通勤手当の支給ミスが起こるもっとも多い原因は、従業員が誤った内容で申請してしまうことです。通勤手当は従業員の申請内容をもとに支給するため、定期券の金額や通勤ルートを誤って申請されることで支給ミスが起こります。
②申請の遅延
従業員の申請手続きが遅れてしまうと、通勤手当に正しい金額が反映されない可能性があります。各月の申請期日を遵守した、速やかな申請を促してください。
③運賃や定期券の値上げ
従業員が気づかないうちに運賃や定期券が値上げされており、通勤手当として適切な金額と支給額に差が生じる場合があります。従業員が通勤に利用している交通機関の運賃や定期券が値上げした際は、企業からアナウンスすると親切です。
④繁忙期の作業増加
企業で人事異動の多い時期が決まっている場合、それに伴う申請手続きが一斉に行われます。大勢の従業員に対して承認や精算を行わなければならず、単純に作業量が増加することが考えられます。作業量が増えるとミスが起こる原因となるので、スタッフの増員や配置転換などで対策しなければなりません。
⑤出社回数の誤り
企業への出社回数も、支給ミスの原因になりやすい要素です。近年ではリモートワークと出社を組み合わせた勤務形態が浸透し、出社回数に応じて通勤手当を支給する企業が増えてきました。このような企業では、月によって、また社員によって異なる出社回数を正しく把握し、通勤手当の計算に反映できるような方法を検討する必要があります。
通勤手当の支給ミスの修正方法
万が一、通勤手当の支給ミスが起こってしまったときは、速やかに正しい支給金額へと修正しなければなりません。具体的には、金額の大きさや過不足の内容によって、とるべき対応は変わります。
ここでは2つのパターンを紹介します。
①現金で処理する
支給ミスの金額が少額である場合、またはすぐに修正が必要な場合は、現金での即時処理が有効です。特に支給金額が不足していたときは、翌月以降に精算することは労働基準法で定められている“全額払いの原則”に反する可能性があるため、発覚した時点で対処しなければなりません。
現金を迅速に支給することで、従業員の不満を最小限に抑えられます。
②翌月以降に調整する
従業員が返金に応じられないなど、現金での処理が難しい状況であれば、翌月以降に支給する給与に調整を加えるかたちで処理する方法もあります。たとえば、実際に発生した金額より過剰に支給してしまった場合は、該当する従業員の同意のうえ、翌月の給与から差し引くことで調整が可能です。
ただし、翌月以降に調整できるのは、支給金額が過剰だったケースに限られます。
【注意点】修正時は課税範囲を再確認する
支給金額の修正時には、課税範囲を再確認する必要があります。通勤手当は、金額に応じて課税か非課税かが分かれているので、金額を調整する際はその区分の変更の有無を配慮しなければならないというわけです。
この対応を怠ると、従業員の税負担が不適切になる可能性があります。
通勤手当の支給における間違いを少なくするための対策
支給ミスが発生した際は、金額を修正するのはもちろんですが、それだけでは不十分です。ここからは、再発防止のために行うべき2つの対策を紹介します。
①通勤マスターを修正する
なんらかのシステムに基づいて通勤手当を支給している場合、通勤手段や支給金額を管理する通勤マスターを、従業員ごとに修正しなければなりません。
通勤マスターの情報に誤りがあるときは、修正しなければ翌月以降に同様の支給ミスが発生します。住所の変更や定期券の金額に変更があった際は、速やかに通勤マスターの情報を修正してください。
②支給ルールを明確にする
従業員からの申請ミスを防ぐには、わかりやすいルールの設定が必要になります。企業の賃金規定などに記しておき、従業員が確認した際にひと目見て理解できる内容にすることが大切です。
また、あらかじめ想定される特殊なケースや、発生頻度が低くても実際に起こってしまったケースについても、明文化しておくことで次回発生時の処理時間を短縮しミスを防ぐことができます。
まとめ
この記事では、通勤手当の支給ミスについて以下の内容を解説しました。
- 通勤手当の支給ミスが起こる原因
- 通勤手当の支給ミスの修正方法
- 通勤手当の支給における間違いを少なくするための対策
通勤手当は毎月発生する重要な業務ですが、さまざまな原因で支給ミスが起こりえます。万が一支給ミスが発生した際は、適切に修正するのはもちろんのこと、再発防止に向けて手を打つ必要があります。とはいえ、手作業で処理していてはヒューマンエラーが起こる可能性を完全にはなくせないことも事実です。
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