定期券を払い戻しできる条件とは? 計算方法や経理業務におけるフローのポイントも紹介
転居や転勤、退職、あるいはテレワークによる実費支給への切り替えなどによって、従業員から「定期券を払い戻したい」という相談を受けることもあるのではないでしょうか。適切に対応するには、有効期限や払い戻し額の計算方法など、人事・総務担当者が知っておくべき内容がいくつかあります。
本記事では、定期券を払い戻しできる条件や払い戻し額の計算方法を、経理業務におけるフローのポイントとともに紹介します。
なお、今回はもっとも一般的な鉄道定期券の払い戻しについて記載しており、鉄道会社や路線によってはこの限りではありません。
目次[非表示]
- 1.定期券を払い戻しできる条件
- 2.定期券の払い戻しが可能な期間
- 3.定期券の払い戻し額の計算方法
- 3.1.①1ヶ月定期券の場合
- 3.2.②3ヶ月定期券の場合
- 3.3.③6ヶ月定期券の場合
- 4.定期券の払い戻しの手続きを進める際の経理業務のポイント
- 5.まとめ
定期券を払い戻しできる条件
定期券を払い戻しするには、有効期間が1ヶ月以上あることが条件になります。言い換えれば、3ヶ月・6ヶ月定期券は、有効期限が1ヶ月以上残っていなければ、返金してもらえないということです。
そうすると、「1ヶ月定期券を購入したら、その時点で払い戻し不可なのか?」という疑問が生まれます。この場合は、間違いに気づき購入直後に申し出た場合や、使用開始日から7日以内に申請したときに限り、対応してもらえるケースもあります。
定期券の払い戻しが可能な期間
定期券は、決められた期間内でなければ、途中解約することができません。その期間は、定期券の有効期限によって異なります。
▼定期券を払い戻せる期間
有効期限 |
途中解約が可能な期間 |
1ヶ月定期券 |
払い戻しを受ける日が使用開始日から7日以内 |
3ヶ月定期券 |
払い戻しを受ける日が使用開始日から2ヶ月以内 |
6ヶ月定期券 |
払い戻しを受ける日が使用開始日から5ヶ月以内 |
3ヶ月・6ヶ月定期券の有効期限が1ヶ月以上残っていなければならないのは、払い戻し額の計算方法が月単位であるためです。計算方法に関しては、のちほど詳しく説明します。
ただし、有効期限が1ヶ月以上残っていても、使用済み金額が販売額と手数料の合計を上回り、払い戻し額が0円となる場合もあります。詳細については、対象の鉄道会社に確認してください。
定期券の払い戻し額の計算方法
ここからは、定期券の払い戻し額の計算方法を、有効期限別に解説していきます。
①1ヶ月定期券の場合
1ヶ月定期券の払い戻し額は、「1ヶ月の定期券発売額-(定期区間の往復運賃×経過日数)-手数料=払い戻し額」の計算式で算出できます。なお、申請が使用開始日よりも前の場合は、手数料のみ差し引かれます。
1ヶ月定期券で途中解約が可能なのは、使用開始日から7日以内です。ここで注意したいことは、使用開始日が7日に含まれるという点です。つまり、定期券の使用開始日が2月1日なら、2月7日までは払い戻しを受けられるものの、2月8日になると払い戻し額が0円になります。
②3ヶ月定期券の場合
3ヶ月定期券の払い戻し額は、使用開始日から7日以内であれば日単位で計算された金額、使用開始日から8日以降2ヶ月以内であれば月単位で計算された金額になります。
前者は「3ヶ月の定期券発売額-(定期区間の往復運賃×経過日数)-手数料=払い戻し額」、後者は「3ヶ月の定期券代-(1ヶ月の定期券代×経過月数)-手数料=払い戻し額」で算出できます。
③6ヶ月定期券の場合
6ヶ月定期券では、使用開始日から7日以内であれば日単位で計算された金額、使用開始日から8日以降5ヶ月以内であれば月単位で計算された金額が払い戻されます。
前者は「6ヶ月の定期券発売額-(定期区間の往復運賃×経過日数)-手数料=払い戻し額」の計算式で算出でき、これは3ヶ月定期券と同様です。後者は「6ヶ月の定期券代-経過月数の定期代-手数料=払い戻し額」となり、月単位の計算は、3ヶ月を経過しているかどうかで変わってきます。経過月数について、以下の表にまとめました。
▼経過月数の算出方法
経過月数 |
経過月数の定期代の計算方法 |
1ヶ月 |
1ヶ月の定期代 |
2ヶ月 |
1ヶ月の定期代×2 |
3ヶ月 |
3ヶ月の定期代 |
4ヶ月 |
3ヶ月の定期代+1ヶ月の定期代 |
5ヶ月 |
3ヶ月の定期代+1ヶ月の定期代×2 |
このように、経過月数の定期代は1ヶ月定期代と3ヶ月定期代を組み合わせて差し引かれます。
定期券の払い戻しの手続きを進める際の経理業務のポイント
人事・総務部として、従業員の定期券の払い戻し対応を円滑に進めるには、ルールを明確化し、フローを可視化することが重要です。ここからは、定期券の払い戻しの手続きを進めるうえで押さえておきたい、経理業務の2つのポイントを紹介していきます。
①定期券の払い戻しが発生する際の申請ルールを決めておく
通勤経路の変更や支給停止によって、定期券の払い戻しが発生する場合、会社が払い戻し額を計算する基準日と従業員が実際に窓口で手続きする日がずれると、払い戻し額に差が出る可能性があります。
このような事態を防ぐためにも、定期券の払い戻しが発生するような申請では「〇日前までに行う」などのルールを定めたうえで、会社が払い戻し額を計算する基準日を事前にアナウンスしておくことが望ましいです。
なお、通勤手当の支給額が変わると、雇用保険や社会保険の算定金額にも影響が生じてしまいます。申請が遅れた際のペナルティを設定しておくのも、一つの手段です。
②定期券の払い戻しの精算方法を明確にする
定期券の払い戻しの手続きを進める際は、給与と一緒に振り込む、あるいは証明書の提出と引き換えに現金を手渡しするなど、精算方法を明確化することも大切です。どの担当者が対応しても同じになるように、チェック項目を作成し精算方法を明確にしておくとスムーズな手続きにつながります。
また、タイミングによっては、定期券の払い戻しの手続き後に数日間の実費支給があるのかも確認する必要があります。
まとめ
この記事では、定期券の払い戻しについて以下の内容を解説しました。
- 定期券を払い戻しできる条件と期間
- 定期券の払い戻し額の計算方法
- 定期券の払い戻しの手続きを進める際の経理業務のポイント
有効期間が1ヶ月以上なければ、定期券の払い戻しを受けることができません。払い戻し額の計算方法は、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の有効期限によって変わります。
人事・総務部として円滑に手続きを進めるにはルールを明確にし、経理業務におけるフローとして確認できるようにすることが大切です。しかし、従業員の転勤のタイミングや退職日に合わせた個別の対応になるうえ、複数の公共交通機関を利用しているケースも多いため、払い戻し額の算出は担当者の業務負担にもなりかねません。鉄道会社によっては特殊な計算式が使われる場合もあるので、正確に計算するには都度調べる必要があります。
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