新幹線通勤の従業員に手当は支給できる? ポイントを解説


従業員のなかには、通勤の手段として新幹線を利用している方がいるかもしれません。それに付随して、新幹線利用者への通勤手当の処理でお悩みの担当者もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、新幹線利用者の通勤手当の経費処理で注意すべきポイントや、定期券の基本ルールを解説します。



従業員が新幹線で通勤する場合、通勤手当を支給してよいのか?

新幹線での通勤が、“最も経済的かつ合理的な通勤経路および方法”であれば、会社の規定によって通勤手当を支給できます。


ただし、新幹線を含む公共交通機関の通勤手当には、非課税限度額が定められています。通勤手当が1ヶ月あたり15万円を超えた場合、超えたぶんの金額は課税対象です。



新幹線利用者に通勤手当を支給する際に注意すべきポイント

新幹線で通勤する従業員に通勤手当を支給する場合、注意すべきポイントが何点か存在します。

ここでは、代表的な3つのポイントを解説します。


①通勤手当の支給対象者を合理的な理由なく限定しないように会社の規定を定める

新幹線を含む通勤手当の支給ルールを定める際は、支給対象者を不当に選ばないように注意してください。

前提として、通勤手当の支給対象者を正社員に限定することは、同一労働同一賃金の原則に反するため認められていません。


短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の通勤手当及び出張旅費を支給しなければならない。

引用元:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン


もし特定の役職など一部の従業員のみに新幹線利用を認める場合、その通勤費は手当とみなされずに全額が課税対象となる可能性があります。


とはいえ、高額な新幹線通勤を会社としてどこまで認めるかは、基準の検討が必要です。社員の不公平感を生まないよう、きちんと説明できるような準備を行うことが望ましいでしょう。


②支給対象は自由席に限られる

新幹線での通勤手当が支給対象となるのは、自由席を利用する際の金額に限られます。※

新幹線の座席には、自由席のほかに、確実に座れる指定席や、普通車と比べて居心地の良いグリーン車の座席が存在します。しかし、指定席やグリーン車にかかる料金は、非課税となる要件である“最も経済的かつ合理的な通勤経路および方法のための料金”として認められません。


※ 新幹線の定期券で乗車可能な座席は、普通車の自由席に限られます。ただし、東北新幹線盛岡-新青森間と北海道新幹線は、全車指定席の列車のみ運転されているため、“定期券をもっていれば指定席の空席に乗車可能”というルールになっています。


③通勤手当は社会保険料の算出に影響する

通勤手当は課税か非課税かにかかわらず、社会保険料の算出に影響を及ぼします。

社会保険料の算出に用いる報酬額には、基本給だけではなく、通勤手当をはじめとする諸手当も含まれます。つまり、通勤手当の額が大きいほど社会保険料が多くなるという仕組みです。

新幹線利用者の通勤手当は、その点を理解したうえで支給してください。



新幹線の定期券の基本ルール

通勤に新幹線を利用する場合、多くの方が定期券を購入するはずです。ここからは、新幹線の定期券の基本ルールを解説します。


①異なる会社の新幹線にまたがった区間では購入できない

異なる会社の新幹線にまたがった区間では、基本的に定期券が販売されていません。

たとえば東京駅は、東海道新幹線と東北新幹線の起点となっています。しかし、両者は異なる会社が運営しているため、2つの路線にまたがった“大宮-新横浜”などの区間では、定期券が販売されていないというわけです。

例外として、JR東海の東海道新幹線とJR西日本の山陽新幹線とでは、両路線にまたがった区間でも定期券を購入できます。


②新幹線の定期券の販売区間は限られている

そもそも、新幹線の定期券が販売されている区間は限られています。

販売されている新幹線定期の区間は、JR各社のホームページに明示されているので、利用したい経路での定期券が購入可能かどうかを確認してみましょう。


なお、新幹線定期の区間は長くても300km程度です。たとえば東京発の東海道新幹線の場合、"東京-豊橋"(293.6km)が最長で、"東京-名古屋"(366km)などの区間は販売されていません。

また、新幹線と在来線にまたがる定期券も販売されています。こちらも経路によっては購入できないため、購入可能かどうかはJR各社への確認が必要です。


③基本的に6ヶ月の利用期間では販売していない

新幹線の定期券は、基本的に利用期間が1ヶ月と3ヶ月の2種類しかありません。
ただしJR九州のみ、上記にくわえて利用期間が6ヶ月の定期券も取り扱っています。



新幹線の定期券の料金を安くする方法

補助金制度の活用は、新幹線の定期券の料金を安くする方法として効果的です。一部の自治体では、要件を満たした場合に新幹線の定期券代を補助しています。

たとえば、埼玉県熊谷市や新潟県湯沢町などは、町おこしの観点から補助金制度を設けています。補助金の額は1ヶ月数万円単位になるので、経済的な負担を抑えることが可能です。


これらの補助金は随時要件が変更されるため、気になる制度がある場合は、自治体のホームページで最新の情報をご確認ください。



まとめ

この記事では、新幹線利用者の通勤手当について以下の内容を解説しました。

  • 従業員が新幹線で通勤する場合、通勤手当を支給してよいのか?
  • 新幹線利用者に通勤手当を支給する際に注意すべきポイント
  • 新幹線の定期券の基本ルール
  • 新幹線の定期券の料金を安くする方法

新幹線での通勤が経済的かつ合理的だと認められれば、通勤手当を支給できます。ただし、新幹線の定期券にはさまざまなルールがあるため、支給する際は入念な確認が必要です。


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