通勤手当の相場はどのくらい? 自社で制度を決める際の方法も紹介
通勤手当制度の新設、あるいは見直しに際して「通勤手当の相場はいくらぐらいなのだろう」「支給にあたって、把握しておくべきルールはないのか」とお考えの人事・総務担当者もいるのではないでしょうか。適切に制度を運用するには、相場や通勤手当制度を決めるうえでの基準など、知っておくべき内容がいくつかあります。
本記事では、通勤手当の相場を、自社で制度を決める際の方法とともに紹介します。
目次[非表示]
- 1.通勤手当とは
- 2.通勤手当の相場
- 3.通勤手当の決め方
- 3.1.①電車やバスなどの公共交通機関の場合
- 3.2.②車(マイカー)の場合
- 4.まとめ
通勤手当とは
通勤手当とは、従業員の通勤にかかる費用を補助するために、企業が支給する手当のことです。支給の目的は、従業員の経済的負担を軽減することです。
ただし労働基準法では、通勤手当の支給が義務づけられていないため、企業の裁量で支給の有無を自由に決めることができます。そのため、支給額や支給条件、対象の交通手段、支給形式などは、企業によってさまざまです。
通勤手当の相場
先述した通り、通勤手当の支給額は、企業によって異なります。地域ごとの交通事情や、遠距離通勤者の割合、通勤の頻度などさまざまな要因があり、そのうえで企業が独自に支給条件を決定するためです。ただ、従業員規模に応じた“一人あたり平均額”が、厚生労働省の『令和2年就労条件総合調査』で公開されています。
▼通勤手当の平均額
従業員規模 |
通勤手当の平均額(1人あたり) |
30~99人 |
10,300円 |
100~299人 |
10,800円 |
300~999人 |
11,400円 |
1,000人~ |
13,300円 |
平均値 |
11,700円 |
厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」を基に作成
この調査によると、企業の規模によって3,000円程度の差があるものの、10,000円以上を通勤手当として支給していることがわかります。ただし、上記は平均額であるためあくまでも参考程度に捉え、従業員の声を聞いたうえで、自社の通勤手当制度を決めることが大切です。
通勤手当の決め方
自社の通勤手当制度の新設・見直しに際しては、非課税限度額を把握しておく必要があります。非課税限度額を超えない範囲においては、所得税が通勤手当に対して課税されないからです。
非課税限度額の適用ルールは、従業員が利用する交通手段によって異なります。そこでここからは、公共交通機関で通勤するケースと、自分の車で通勤するケースに分けて紹介していきます。
①電車やバスなどの公共交通機関の場合
従業員が公共交通機関で通勤している場合、1ヶ月あたり15万円までの通勤手当が非課税限度額の対象です。公共交通機関と車(マイカー)を組み合わせているケースでも、1ヶ月あたり合計15万円までが非課税と見なされます。
なお、通勤手当に非課税限度額を適用するためには、“最も経済的かつ合理的な経路”での通勤でなければなりません。例えば、通勤に新幹線のグリーン車を利用した場合は適用外となります。
以下の記事では、通勤手当における最も経済的かつ合理的な経路の概要を詳しく紹介しています。
「通勤手当における最も経済的かつ合理的な経路とは? 支給時のチェックポイントも紹介」
②車(マイカー)の場合
従業員が車で通勤している場合の手当は、一般的に1Lあたりのガソリン単価と燃費で算出します。計算式は次のようになります。
通勤にかかる往復距離×出勤日数×1Lあたりのガソリン単価÷燃費
また、「〇km以上〇km未満の場合はいくら」といった形で、距離の範囲に応じた1ヶ月の支給額をあらかじめ決めている企業もあります。
いずれの方法で手当を算出する場合でも、手当が課税対象となるかどうかは「距離」から決まります。以下の表に、1ヶ月あたりの非課税限度額をまとめました。
▼通勤距離に応じた非課税限度額
片道の通勤距離 |
1ヶ月あたりの非課税限度額 |
2㎞未満 |
全額課税対象 |
2㎞以上10㎞未満 |
4,200円 |
10㎞以上15㎞未満 |
7,100円 |
15㎞以上25㎞未満 |
12,900円 |
25㎞以上35㎞未満 |
18,700円 |
35㎞以上45㎞未満 |
24,400円 |
45㎞以上55㎞未満 |
28,000円 |
55㎞以上 |
31,600円 |
国税庁「No.2585 マイカー・自動車通勤者の通勤手当」を基に作成
片道の通勤距離に対して、1ヶ月あたりの非課税限度額が定められています。そのため、通勤距離に応じた非課税限度額を、そのまま通勤手当の支給上限額とすることもできます。
以下の記事では、車の通勤手当の決め方や支給時の注意点を詳しく解説しています。
「車の通勤手当はどのように決める? 支給時の注意点も紹介」
まとめ
この記事では、通勤手当について以下の内容を解説しました。
- 通勤手当とは
- 通勤手当の相場
- 通勤手当の決め方
通勤手当の相場は、企業によって支給条件や対象となる交通手段が異なるゆえに、一概に算出することは難しいとされています。とはいえ、厚生労働省の調査によって平均額は出ているため、参考にしたうえで自社の通勤手当制度を決めることが望ましいです。
また、自社で通勤手当制度を決めるにあたっては、交通手段によって異なる非課税限度額の適用ルールを考慮する必要があります。非課税限度額を超えると、所得税が課税されるため、人事・総務担当者はルールを把握しておくことが欠かせません。
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