車の通勤手当はどのように決める? 支給時の注意点も紹介



公共交通機関での通勤が困難な場合、従業員から車通勤を申請されることがあるかもしれません。人事・総務ご担当者様のなかには、「車の通勤手当の計算方法を知りたい」「支給時に気をつけることはあるのか?」とお考えの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、車の通勤手当の決め方を、支給する際の注意点とともに紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.車の通勤手当の決め方
  2. 2.車の通勤手当を支給する際の注意点
    1. 2.1.①非課税限度額を考慮する
    2. 2.2.②社会保険料に留意する
  3. 3.車での通勤を認める際のポイント
    1. 3.1.①利用条件を明確にする
    2. 3.2.②交通安全教育を行う
  4. 4.通勤手当の不正受給を防ぐために講じるべき対策
  5. 5.まとめ


車の通勤手当の決め方

車の通勤手当は、1Lあたりのガソリン単価と燃費で計算し、金額を決めるのが一般的です。

ガソリン単価と燃費で金額を決める際は、“通勤の往復距離×出勤日数×1Lあたりのガソリン単価÷1Lあたりの燃費”で計算します。例えば、通勤の往復距離20㎞、出勤日数20日、ガソリン単価140円/L、燃費16㎞/Lとした場合の通勤手当は、月3,500円です。

なお、通勤距離に応じて通勤手当の支給額を決定する場合は、後述の「非課税限度額」をそのまま支給上限額としている会社もあります。
以下の記事では、通勤手当の基本的な知識や、車以外の通勤手当の計算方法も解説しています。
通勤手当の計算方法とは?自動計算におすすめの方法も紹介



車の通勤手当を支給する際の注意点

車の通勤手当は、どのような点に気をつけて支給すればよいのでしょうか。ここからは、車の通勤手当を支給する際の2つの注意点を解説していきます。


①非課税限度額を考慮する

車の通勤手当を支給する際は、非課税限度額を考慮する必要があります。通勤手当は、通勤手段によって課税ルールが異なるため、車通勤を認める場合、そのルールを確認しなければなりません。車通勤では、片道の通勤距離に応じて非課税限度額が定められています。


▼車通勤の場合の非課税限度額

片道の通勤距離
1ヶ月当たりの非課税限度額

2㎞未満

全額課税対象

2㎞以上10㎞未満

4,200円

10㎞以上15㎞未満

7,100円

15㎞以上25㎞未満

12,900円

25㎞以上35㎞未満

18,700円

35㎞以上45㎞未満

24,400円

45㎞以上55㎞未満

28,000円

55㎞以上

31,600円

国税庁「No.2585 マイカー・自動車通勤者の通勤手当」を基に作成


上記の非課税限度額を超えると、超過した通勤手当は給与と見なされ、所得税が課税されてしまいます。


②社会保険料に留意する

通勤手当は、社会保険料の標準報酬月額の計算に全額含まれるため、遠方から車で通勤し手当が増えるほど、社会保険料による負担が大きくなります。原則、社会保険料は給与から天引きされますから、従業員の手取り額が少なくなるというわけです。

しかし、社会保険料が高いのは悪いことばかりではなく、老齢厚生年金や傷病手当金、出産手当金などの受給額が増加するという利点もあります。トラブルを防ぐためにも、遠方から車で通勤する従業員には、車通勤を許可する前にこれらを伝え、了解を得ることが重要です。

なお、通勤距離が長くなるほど社会保険料が高くなるのは、通勤に電車を利用する場合も同様です。



車での通勤を認める際のポイント


車通勤を認めるうえで、車の通勤手当の計算方法や支給時の注意点を理解するだけでは、準備万端とは言えないかもしれません。ここでは、車での通勤を認める際の条件として2つのポイントを紹介します。


①利用条件を明確にする

従業員の車通勤を認める際は、まず利用条件を明確にすることが大切です。

“マイカー通勤規定”として、車の使用範囲や企業の費用負担範囲、有効期限など、具体的なルールをきちんと定めておきます。例えば、車を通勤のほか、営業車としても利用可能か、公共交通機関と併用する場合は、何を支払うかなどをルール化しておくことが望ましいです。

さらに、当該車について任意保険への加入と、従業員に保険証のコピーの提出を義務づけます。任意保険とは、通勤中の事故や車の破損など、もしものときに自賠責保険では補いきれない損害をカバーしてくれる保険のことです。万一、保険に加入しないまま従業員が事故を起こしてしまった場合は、民法第715条で定められている『使用者等の責任』を、企業側が問われる可能性があります。これは、従業員に代わって、企業に損害を賠償する責任が課せられるという法令です。


②交通安全教育を行う


事故を予防するため、定期的に交通安全教育を実施することも、車通勤を認める際には不可欠です。交通安全教育では、対象の従業員に交通ルールの遵守や、適切な車両整備のよびかけなどを行います。

従業員が事故を起こした場合、『使用者等の責任』が発生する可能性があるほか、企業の社会的信用にも影響が及ぶかもしれません。さらに、事故のリスクとしては、大切な従業員が加害者・被害者となるだけではなく、一時的な人手不足に陥ることも挙げられます。

車を運転する際の安全は、ハンドルを握る個々の従業員にかかっています。そのため、車通勤は許可制とし、企業側が人物を見て対象者を判断するのがベターです。



通勤手当の不正受給を防ぐために講じるべき対策

車に限らず、通勤手当の不正受給を防ぐには、通勤交通費に関する規定を改めて社内全体に周知させることが必要です。

マイカー通勤規定にくわえ、不正受給が発覚した際の返還請求の規定も決定しておきます。あらかじめ賃金からの合意相殺や調整相殺などの罰則が分かっていれば、従業員の不正受給を防げる可能性も高まります。

そのほか、住居変更の際は“通勤手当支給申請書”を提出させ、申請内容を精査することも大切です。しかし、従業員のなかには、転居後も通勤経路の変更申請を忘れている方もいるかもしれません。そのため、住居変更の申請があった場合は、必ず通勤手当も併せて確認してください。


まとめ

この記事では、車の通勤手当について以下の内容を解説しました。


  • 車の通勤手当の決め方や支給時の注意点
  • 車での通勤を認める際のポイント
  • 通勤手当の不正受給を防ぐために講じるべき対策


車の通勤手当は、ガソリン単価と燃費で計算して支給額を決めるのが一般的です。

通勤手当を支給する際は、非課税限度額を考慮する必要があります。また、通勤距離が長いと社会保険料が高くなり、対象の従業員の手取りが少なくなってしまうため、事前に説明し了解を得ることも大切です。

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